LCID(ルシード社)の将来性評価 2025/2/2

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Lucid(LCID)の将来性評価

Lucid(ルーシッド)は高級EVメーカーとしてテスラの競合になることを目指しているが、現状はかなり厳しい状況にある。以下の点を考慮しながら、将来性を評価する。


1. 財務状況:赤字経営が続く

  • 2023年の売上高は約6億ドルだったが、営業損失は大きく、黒字化の見通しは立っていない
  • 2021年~2023年の間に約50億ドル以上の資金を消費しており、キャッシュバーン(資金燃焼)速度が非常に高い。
  • 現在、サウジアラビアの政府系ファンド「PIF(Public Investment Fund)」がルーシッドを支援しているが、今後の資金調達が難航する可能性がある。

2. 生産能力と市場シェア

  • 生産台数は目標未達成が続く。
    • 2023年は約1.0万台の生産を計画していたが、実際は7,000台程度しか生産できず。
    • テスラやBYDが100万台単位でEVを販売しているのに対し、Lucidの規模は小さすぎる。
  • コスト高が課題。
    • Lucid Air(同社の主力モデル)は高級車路線だが、コスト管理が甘く、採算ラインに乗るのが難しい。

3. 競争環境:テスラとBYDの圧倒的優位

  • テスラやBYDは低価格のEVも展開しており、コスト競争力が圧倒的に強い。
  • Lucidは高級EV市場にフォーカスしているが、ライバルはメルセデス、BMW、ポルシェといった伝統的な高級車ブランド
  • EVの価格競争が激化しており、テスラやBYDは値下げを行っているが、Lucidはこれに対抗できるほどの余裕がない。

4. 技術力:バッテリー性能は優秀

  • Lucidはバッテリー技術に強みを持ち、1回の充電で500マイル(約800km)以上の走行が可能。
  • 自社開発のドライブトレイン(電動パワートレイン)の性能は業界トップクラス。
  • ただし、この技術力を収益に結びつけるのが難しい状況。

5. サウジアラビアとの関係

  • サウジ政府系ファンド(PIF)が約60%の株式を保有しており、支援を受けている。
  • サウジアラビア国内に工場を建設予定であり、中東市場の開拓を進めている。
  • ただし、サウジの支援が続く保証はないため、資金繰りのリスクは依然として高い。

6. 株価と市場評価

  • 株価は一時50ドルを超えていたが、現在は2~3ドル台まで暴落。
  • 時価総額は約60億ドルだが、財務状況を考えると過大評価されている可能性が高い。
  • テスラやBYDと比較すると、投資妙味は低い。

総合評価:将来性は厳しい

項目評価
財務状況★☆☆☆☆(赤字経営が続く)
生産能力★☆☆☆☆(目標未達成が続く)
技術力★★★★☆(バッテリー技術は優秀)
競争力★☆☆☆☆(テスラやBYDに圧倒的不利)
株価の割安度★☆☆☆☆(リスクが高すぎる)
総合評価★★☆☆☆(投資対象としては魅力が薄い)

Lucidは技術力こそ優秀だが、財務状況が悪化しており、EV市場で生き残るのが難しくなっている。特に、生産目標未達、赤字経営、資金繰りのリスクが大きな懸念点

今後、黒字化の見通しが立たなければ、最悪の場合倒産か、PIF(サウジ政府ファンド)による完全買収の可能性もある。短期的な投機目的ならありかもしれないが、長期投資としては厳しいと評価する。

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