結論: 楽天グループは、2024年12月期において売上収益の増加と営業利益の黒字転換を達成し、特にモバイルセグメントの損失縮小が顕著です。しかし、最終損益は依然として赤字であり、今後の収益性向上と財務健全性の確保が課題となります。
1. 現状のポジション
楽天グループは、インターネットサービス、フィンテック、モバイルの3つの主要セグメントを展開しています。2024年12月期の連結売上収益は前年同期比10.0%増の2兆2,792億円となり、営業利益は529億円の黒字に転換しました。特に、モバイルセグメントの損失が前年同期比で1,056億円改善し、2,089億円の営業損失となっています。
2. 強み
① 多角的な事業展開
- インターネットサービス:国内EC流通総額は前年同期比1.5%減の5兆9,550億円となったものの、影響を除けば前年同期比4.6%増と堅調に推移しています。 corp.rakuten.co.jp
- フィンテック:楽天カードのショッピング取扱高は24.0兆円(前年同期比13.7%増)となり、楽天銀行の口座数も1,648万口座(前年末比11.6%増)に達するなど、顧客基盤の拡大が続いています。 corp.rakuten.co.jp
② モバイル事業の改善
- 損失縮小:楽天モバイルの営業損失は前年同期比で850億円改善し、2,163億円となりました。 corp.rakuten.co.jp
- 契約回線数の増加:2024年末時点で全契約回線数は830万回線となり、1年間で177万回線の純増を達成しています。 corp.rakuten.co.jp
3. 課題
① 最終損益の赤字継続
- 当期損失:2024年12月期の親会社の所有者に帰属する当期損失は1,624億円と、依然として赤字が続いています。 corp.rakuten.co.jp
② 財務健全性の確保
- 有利子負債:2025年11月と12月に初回コールを迎える国内劣後債のリプレイスメントを目的とした米ドル建永久劣後債を2024年12月に発行し、資金を確保していますが、引き続きバランスシートの健全性維持が求められます。 corp.rakuten.co.jp
4. 総合評価
項目 | 評価 |
---|---|
成長性 | ★★★★☆(売上収益の増加とモバイル事業の改善が見られる) |
収益性 | ★★☆☆☆(最終損益の赤字が継続しており、収益性向上が必要) |
競争力 | ★★★★☆(多角的な事業展開と顧客基盤の拡大により、競争力を維持) |
将来性の期待値 | ★★★☆☆(財務健全性の確保と最終損益の黒字化が鍵となる) |
結論
楽天グループは、売上収益の増加やモバイル事業の損失縮小など、一定の改善が見られます。
しかし、最終損益の赤字継続や財務健全性の確保といった課題も存在します。
投資を検討する際は、今後の収益性向上策や財務戦略の動向に注目することが重要です。