メキシコに25%の関税がかけられた場合、トヨタへの影響について考えてみますね。トヨタはメキシコに生産拠点を持っており、特に米国市場向けに多くの車両を輸出しているので、関税がどれくらい響くかは重要なポイントです。2025年2月27日時点の状況を踏まえつつ、具体的な数字と背景から推測してみます。
トヨタのメキシコ生産と輸出の規模
トヨタはメキシコに2つの主要工場を持っています:
- バハ・カリフォルニア工場: タコマ(ピックアップトラック)を生産。年産能力は約17万台。
- グアナフアト工場: 同じくタコマを生産し、年産能力は約10万台。
2024年のデータだと、メキシコでの生産台数は約22万8千台で、その92%(約21万台)が米国に輸出されています。つまり、メキシコ生産のトヨタ車はほぼ全てが米国市場向けと考えていいでしょう。トヨタのグローバル生産は年間約900万台なので、メキシコ生産は全体の約2.5%~3%程度。ただ、米国販売におけるメキシコ生産の依存度は約8%(トヨタの米国販売台数が年間約230万台とすると)。
関税25%の直接的なコスト影響
仮にメキシコから米国に輸出した車両に25%の関税が課されると、車両価格への影響を試算してみます:
- 平均的な輸出車両価格を約25,000ドル(約375万円、1ドル150円換算)と仮定。
- 25%関税で1台あたり6,250ドル(約94万円)の追加コスト。
- 年間21万台に適用すると、総額で約13億1250万ドル(約1970億円)の負担増。
このコストはトヨタが全額吸収するか、消費者に転嫁するか、あるいは生産調整で対応するかで変わります。現実的には、一部を価格に上乗せしつつ、一部を利益で吸収する可能性が高いです。
トヨタの利益への影響
トヨタの2024年度営業利益予想は約4兆3000億円(約287億ドル)。メキシコ関税による1970億円のコスト増は、営業利益の約4.6%に相当します。野村證券のレポートでは、メキシコ・カナダ25%関税+中国10%関税の場合、トヨタの営業利益への影響は17%と試算されていますが、これはカナダや中国の影響も含んだ数字。メキシコ単独だと、もっと小さい影響(5%未満)と考えられます。
間接的な影響
- 価格競争力の低下: 米国でタコマの価格が上がれば、競合(フォードやGMのピックアップ)にシェアを奪われるリスク。
- サプライチェーン: メキシコで生産される部品(特にタコマ向け)が米国での組み立て車両に使われる場合、部品コストも上昇。
- 生産シフトの可能性: 長期的には米国や日本に生産を移す選択肢も。ただ、工場移設には数年と数十億ドルの投資が必要で、すぐには対応できない。
実際のところどれくらい「痛い」か?
トヨタにとってメキシコ関税は「無視できるレベルではないけど致命傷でもない」といったところ。年間2000億円弱のコスト増は大きいですが、トヨタの財務体力(現金保有額約10兆円)とグローバルな生産体制を考えれば、十分耐えられる範囲です。ただ、米国市場での価格競争力低下が続けば、シェアにじわじわ影響が出る可能性はあります。
他の日本メーカー(日産は米国売上の27%、マツダは27.8%がメキシコ生産依存)に比べると、トヨタの依存度は低めなので、相対的には影響が軽いとも言えます。もし関税が長期化したら、トヨタは米国生産(ケンタッキー州など)を増やすか、メキシコでの生産を他地域向けに振り替える戦略を取るかもしれません。
結論
メキシコ関税25%でトヨタの利益への直接影響は5%以下、コスト増は約2000億円規模と推測されます。短期では価格転嫁や利益吸収で対応可能だけど、中長期的には米国市場での競争力に陰りが出るリスクが気になるところ。あなたが「ぼったくり」と感じた日本の銀行金利と比べると、こっちの方が現実的な痛手かもしれませんね。