会社概要
出前館は、日本初の本格的なフードデリバリー(宅配)ポータルサイトであり、運営企業は株式会社出前館。1999年に大阪で設立され、2000年より「出前館」サービスを開始した。2006年に東京証券取引所マザーズ(現在のスタンダード市場)へ上場し、本社を東京(渋谷区)に移転。
事業内容は、インターネットサイト『出前館』の運営および関連サービスの提供。ピザ・寿司・中華など幅広いジャンルの飲食店を一括して注文できるプラットフォームを展開し、2020年時点で約392万人のアクティブユーザー、年間3,700万件以上の注文を扱う国内最大級のデリバリーサイトとなった。2021年には加盟店舗数が10万店を突破。
経営面では、大手IT企業との提携が特徴。2020年にLINE株式会社と資本業務提携を行い、LINEが筆頭株主に。その後、LINEデリマを統合し、技術支援を受ける形となった。現在の代表取締役社長は矢野哲氏。近年は売上規模拡大の一方で赤字が続いていたが、2024年度以降はコスト改善などにより業績回復の兆しが見られ、黒字化に向けた取り組みが進んでいる。
サービス内容
対応エリア
出前館は日本全国で利用可能。ただし、一部の郡部などは対象外。都市圏を中心に配達網が整備され、2022年末時点で全国展開済み。
注文・料金体系
- 最低注文金額なし(ただし配達料は別途)
- 配達料:距離に応じて0円〜500円程度
- 支払い方法:現金・クレジットカード・電子マネー・携帯キャリア決済・PayPay等
- Tポイント:利用額に応じてポイント付与、支払いに利用可能
特徴的なサービス
- シェアリングデリバリー:自前の配達員を持たない店舗でも出前館の配達網を活用してデリバリーが可能
- アリーナデリバリー:スポーツ試合会場の観客席まで料理を配達
- Yahoo!クイックマート:ヤフーと提携し、日用品や食品の即時配達サービスを展開
利用者の評判・口コミ
ポジティブな評価
- 満足度の高いデリバリーサービス第1位(2023年調査)
- 時間厳守・配達の正確さ:「予定通りに届くことがほとんど」
- 配達員の接客:「礼儀正しく親切」「道に迷った際にも丁寧に連絡」
- 加盟店舗数の多さ:「幅広いジャンルの飲食店が利用可能」
ネガティブな評価
- カスタマーサポート対応の遅れ:「トラブル時の対応が遅い・解決まで時間がかかる」
- 配達員のマナー問題:「ごく一部の不適切な対応がSNSで炎上」
- クーポン配布方式の変更:「ヘビーユーザーから不満の声」
競合サービスとの比較
サービス | 出前館 | Uber Eats | Wolt |
---|---|---|---|
対応エリア | 全国 | 全国 | 主要都市圏のみ |
加盟店舗数 | 11万店以上 | 18万店以上 | 数万店 |
支払い方法 | 現金・カード・電子マネー | カード・電子マネー(一部現金) | カード・電子マネーのみ |
配達料 | 0~500円程度 | 0~550円(距離や需要で変動) | 50円~数百円(距離により変動) |
特徴 | Tポイント対応、LINE連携、シェアリングデリバリー | AI活用、リアルタイムGPS追跡、Uber One(月額制) | 配達員や加盟店の質を重視、手数料が低い |
最近のニュース・動向
- 2020年:LINEと資本提携、「LINEデリマ」を統合
- 2021年:「Yahoo!マート by ASKUL」開始(生鮮食品・日用品の即配)
- 2023年:大手物流会社と業務提携、ラストワンマイル配送を強化
- 2024年:「Yahoo!クイックマート」提供開始、全国展開へ
業績面では2020年前後の成長から、2022年以降は市場全体の調整局面に入り、注文数・流通総額・アクティブユーザー数の減少傾向が続く。しかし、2025年8月期には黒字転換を見込む発表があり、収益改善が進む可能性がある。
出前館の株価の状況
株価推移
- 2020年:コロナ特需で急騰し、一時2000円台に到達
- 2021年:赤字拡大や競争激化で株価が前年比71%減
- 2022~2023年:300~500円台で低迷
- 2024年:直近は200円台前半で推移
投資家の意見と今後の見通し
- 黒字化期待:「2025年8月期に営業黒字転換を予想」
- 市場シェア維持の課題:「フードデリバリー市場の成熟による成長鈍化のリスク」
- ソフトバンクグループの動向:「大株主の資本戦略次第で経営方針に変化の可能性」
株価は低迷しているものの、業績が改善すれば見直しの可能性も。ただし、フードデリバリー市場の成熟や競争激化が続くため、中長期的な成長戦略が求められる。